研究主題について

 新学習指導要領は,周知の通り,変化の激しい社会において必要な「生きる力」を育むことを目ざしている。そのために,子どもたちが「何を学ぶか」だけでなく「どのように学ぶか」という「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業づくり・改善が求められる。この主体的・対話的な学びは,自分の考えをもち,他者の考えを取り入れながら自らの考えを表現し,学びを深めていくものである。この実現に向けて,子どもたちが学ぶことに興味関心をもち,対話を通して自己の考えを広げ・深め,自己の変容や成長を自覚化できるような授業づくりに取り組むことが私たち教職員の課題であろう。

 本校は,昨年度より,「ビフォー・アフターを表現できる子どもの育成~学ぶ意欲が高まる授業づくりをめざして~」を研究主題として,授業づくりに立ち戻った研修を進めてきた。児童一人ひとりが自分の考えをもち,見通しをもって学びに向かうためには「学ぶ意欲」を高める必要がある。「学ぶ意欲」が高まり,学びが活性化すれば自己の考えに変容が起こる。その変容に視点を当てて振り返ることで課題解決までの経緯や,自己の成長を自覚化することができる。その実現に向け,①学ぶ意欲が高まる問い・学習単元づくり,②子ども自身が自己を振り返り,表現するための工夫の二つに視点を当てて取り組んできた。その成果として,子どもたちが興味をもち,身近に感じることができるような導入の工夫を意識した教材研究を行えるようになった。その結果,自ら課題意識をもち,解決しようとする姿が見られるようになった。また,子どもたちが自分事としてとらえ,考えたくなるような発問を工夫することで,友達に伝えたい,友達の考えを聞いてみたいという意欲的に学ぶ姿が見られるようになった。振り返りにおいても,視点をもたせることで自己の学びや課題を書いたり,振り返りを書く前に数人に発表させたり,ペアで話をしたりして書く活動に入るなど,振り返りの方法を工夫することで,一人ひとりが自分の言葉で振り返ったりすることができるようになってきた。しかし考えを伝えているが「発信する力が弱い」「臨機応変に考えを伝える場面に弱い」など,『表現する力』への課題が見えてきた。また,「友達の意見に対する新たな考えをもてない」など,伝えることで終わってしまい,お互いの考えから新たな考えが生まれたり考えが深まったりするような場面が少ないなど,一方通行の表現になっている。

 そこで今年度は,昨年度の課題を受け,『表現する力』を高めて研究主題に迫りたいと考え,副主題に「思いや考えを伝え,関わりながら高まる授業づくり」を設定した。思いや考えを伝える子は,長門市がめざす子どもの姿でもあり,関わりながら互いが育つことは,めざす学校の姿でもある。表現しながら高まる授業づくりをすることを通して,自己の変容や成長を自覚化し,自分の言葉で表現することができるのではないかと考える。

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